
こんばんは,伊澤ことIzmoです
夏休みということで美術館に足を運ばれる方も多い?と推測しますがいかがでしょうか
ここトーキョーでは良質な展示が常にどこかで行われているので様々な芸術に触れる機会を沢山つくることができます
只今ここ、国立新美術館では17日まで
『第15回 日本・フランス現代美術世界展(公募/推薦) 』が開催されております
※国立新美術館/The National Art Center Tokyo
こちらは日本、フランスを中心にベルギー・オランダ・アメリカからの世界画壇にも扉を開き、文字通り世界展として世界の現代美術240点が集結する展覧会であり、今年はサロン・ドートンヌ協賛展ということで応募された方も多かったのではないでしょうか
私も後援事務局メンバーとして参加している画家の先生の作品が推薦展示されているので先生とその後援事務局のみなさまとご一緒させていただきました
※レセプションパーティにて。先生と後援事務局のメンバー。ポルトガルでも一緒だった上原氏(右から2番目)と一緒に
国立新美術館に一歩踏み入れると「オルセー美術館展」が開催されているせいか、人が溢れている。そんな中、「なんかあの人、雰囲気が違うなあ」と思う方々がちらほらいる。そして講演会やレセプションが行われる会場に入るとさっき「なんかあの人、雰囲気が違うなあ」っと思った方々がいた。
初日には講演会/表彰式/レセプションパーティが行われ、二日目には寸評会というスケジュール。
講演会ではオランダ王国より招聘されたVisual Artistのニコル・ハーディ女史、ヤネル氏が「ヨーロッパの美術史と日本文化からの影響」をテーマに、ベルギー王国のアートディレクター、ファンブラバント氏による『トンヘレンとボルフローンの歴史と美術』を講演。
※トンヘレンとボルフローン(ベルギー/オランダ)・・・行われる第47回目となる欧美国際公募美術賞展~Japanese Today’s Visual Art Exhibition~の開催地
禅についての著作を英語で著し、日本の禅文化を海外に広くしらしめた仏教学者の鈴木大拙(Daisetz Suzuki)の著書『東洋の仏教』がヨーロッパ芸術に与えた影響から始まり、いかに日本文化と禅からヨーロッパの芸術家が大きな受けていたかということが理解できる内容であった。先生からいただいた本、Eugen Herrigelの『弓と禅(稲富栄次郎訳)』の原書「Zen in der Kunst des Bogenschiessens」の話も出てきた。この本はドイツの哲学者、オイゲン・ヘリゲル/Eugen Herrigelが東北帝国大学に招かれて哲学を教えるべく来日した際に日本文化の神髄を知るために弓術を修行した話が綴られている。先生がなぜこの本をプレゼントしてくれたかが理解できた。もちろん貿易の話もでた。文化の行き来には貿易を外しては語れないということだろう。ビジネスという面で貿易をする人、そして運ばれてきた工芸や芸術品、嗜好品などから感化されたり影響され普段触れない文化を想像し何かを汲み取る。この世を物質的社会と揶揄し否定する者もいるが物の魅力に心奪われることは悪いこととは私は思えない。物質を手に入れる満足と同時に手にした虚無感や保持するづけることによる愛着、使いすてであろうが感化されたり、何かを悟るきっかけにもなることもあるだろう。なんといっても物質により豊かさを得ている。物質があるから人間が退化するとか成長しないというなら、それは物質のせいにするその思想の根源がすでにこの世に生を受けていないのだ。目に見える確固たる存在をもつ物からこの世の問題が生まれるのではなく、目に見えない内なる世界によって発展(ポジティブ)や問題(ネガティブ)や何もかもを生み出しているのではないかと思う。道具を手にして動物から人間となったのだ。物質的社会を構築したのは人間の本能だと言えると私は思い、一概に否定することは文化すらも否定することではなかろうか。芸術家は人に物や道具のあり方やそのつきあい方やただの物ではない物に作り替えることを提示し、原始的使用法以外のあり方を見せてくれているものではないだろうか、など私にとって様々なことを考えさせられる講演会であった。
その後行われたレセプション会場にはこの展覧会に参加されている作家、主催者、協賛者、後援者(外務省/在日フランス大使館/ベルギー王国大使館/オランダ王国大使館)、芸術関連企業の方々などが出席されていました。
※サロン・ドートンヌ会長のノエル・コレ氏、フランス画壇の重鎮である。来日する機会はもちろん稀であるため彼の周りには常に人が集まる。実績、地位を確率している人ほど謙虚で紳士的、社交的であることに国や性別、年齢、人種は関係ないのだと感じさせられる。
日本人作家が各地方から集まってくる貴重な機会であり、ヨーロッパ各国との数少ない交流の機会でもあるので皆活発に交流を行っていた
若い作家も意外に多かったことは喜ばしいことであろう
二日目の寸評会にも本当に多くの作家が押し寄せ、サロン・ドートンヌ会長ノエル・コレ氏やオランダのヤネル氏とニコル・ハーディ女史、ベルギーのファンブラバント氏の寸評を熱心に聞いておりました。2時間近くも予定時間をすぎるほどの大盛況であり、この機会を逃すかと日本各地より集結しており飛行機の搭乗時間に間に合うぎりぎりまで会場にいる方々を見ると、この場は作家にとってと貴重なのであろう。
※一枚一枚丁寧に寸評していくサロンドートンヌ会長ノエル・コレ氏やヤネル氏、ニコル・ハーディ女史にファンブラバント氏
展示会場の240点の作品を見て回る。来場者も多国籍、作品と作家を囲み文化交流されていた。良い光景。
※ブラジルで知り合った作家でありサロンドートンヌ ラテンアメリカのキュレーターのEliana Minilloに写真を頼まれていたので撮影し、後日送信した。芸術が海を渡ることの偉大さ、その功績を見てきた国際展で感じる。
日本が誇る有名人と記念撮影。このお方もハリウッドからの依頼があり映画に出演し日本特撮文化を世界に知らしめている
今年だけでブラジル、ポルトガル、そして東京とレセプションに参加する機会をいただいた。
身近に絵画の世界と触れる機会を得た訳ですが、その世界、スケール感の広大さといったら。でもそんな広大な世界にはほんのわずかな数の画家しかいないようにも感じられるし、ときに多大に無数の作家がいるようにも感じる。
一度たりとも途切れていないヨーロッパ芸術の流れは今も続き、100年間に浮世絵が影響を与えたヨーロッパの作家に憧れて画家を目指す日本人もいる
時間や距離をも越えて人々の人生に大きな影響をあたえる芸術。
自分の人生もしかり。
人生って面白い
伊澤 Izmo 昌高